ゆび さき と 恋々。 京山人百樹刪定 岡田武松校訂 北越雪譜 北越雪譜二編 鈴木牧之編撰

京山人百樹刪定 岡田武松校訂 北越雪譜 北越雪譜二編 鈴木牧之編撰

ゆび さき と 恋々

苦しんだり、怒ったり、騒いだり、泣いたりは人の世につきものだ。 するてえと 奴 ( やっこ )さん、驚ろいちまってからに……」 「誰が驚ろいたんだい」 「女がさ」 「女が文を受け取って驚ろいたんだね」 「ところが驚ろくような女なら、 殊勝 ( しお )らしいんだが、驚ろくどころじゃねえ」 「じゃ誰が驚ろいたんだい」 「口説た方がさ」 「口説ないのじゃないか」 「ええ、じれってえ。 路を行くと云わんより川底を 渉 ( わた )ると云う方が適当だ。 蟇 (ひき)六は、一反 (いつたん)あまり、こなたより呼 (よび)かけて、「信乃 (しの)よ、和殿 (わとの)は心願 (しんぐわん)あれば、瀧野川 (たきのかは)詣 (まうで)しつる、と聞 (きゝ)しに、果 (はた)してこゝにて遭 (あひ)にき」といふ間 (はし)に信乃 (しの)は遽 (いそがは)しく、笠 (かさ)を脱 (とり)て進近 (すゝみちか)つき、「こは夕 (ゆふ)こえて漁猟 (すなとり)に歟 (か)。 向うで聞かぬ上は乗り越すか、廻らなければならん。 その向い合うた姿勢が今でも眼につく。 よし全く人情を離れる事が出来んでも、せめて御能拝見(おのうはいけん)の時くらいは淡い心持ちにはなれそうなものだ。

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575筆まか勢

ゆび さき と 恋々

全く流れ込んだんだからね。 どうしても昨今のものとしか受け取れない。 うちおろす網 (あみ)は手 (て)に隨 (したが)ひて、江鮒 (えふな)〓 (すばしり)なンどの獲 (え)もの、板子 (いたこ)のうへに引揚 (ひきあげ)られて、左 (ひだり)に反 (はね)、右 (みぎ)に反 (はね)たる、とる手隙 (てひま)なくいと興 (きやう)あり。 月曜日 - - - - - 離島酒場 ラジオ番組. しかし苦しみのないのはなぜだろう。 やすくいへばわらのきやはんなり。

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ゆび さき と 恋々

「さあ、御(お)あたり。 その大なるを 福嶋潟 ( ふくしまがた )といふ、四方三里 計 ( ばかり )。 耳元にききっと女の笑い声がしたと思ったら眼がさめた。 此時に 臨 ( のぞん )で 死亡 ( しばう )せしもの、雪あれのやむを 待 ( まつ )も 程 ( ほど )のあるものゆゑ、せんかたなく雪あれを 犯 ( をかし )て 棺 ( くわん )を 出 ( いだ )す事あり。 「俺、元奥さんに捨てられただろ?」 思わず肩に手をかければ「終わった事だから気を遣わなくていい」と強がった。 舞 ( ま )ひめぐりてしばらくもとゞまるはなく、あまたありてかぞへがたし。

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京山人百樹刪定 岡田武松校訂 北越雪譜 北越雪譜二編 鈴木牧之編撰

ゆび さき と 恋々

まるで余を狐か 狗 ( いぬ )のように考えているらしい。 また城下へ行くかい」 「何か買物があるなら頼まれて上げよ」 「そうさ、 鍛冶町 ( かじちょう )を通ったら、娘に 霊厳寺 ( れいがんじ )の 御札 ( おふだ )を一枚もらってきておくれなさい」 「はい、貰ってきよ。 湯壺 ( ゆつぼ )は 地 ( じ )の下にあるのだから、 入湯 ( にゅうとう )と云う点から云えば、余は三層楼上に 起臥 ( きが )する訳になる。 芭蕉に二千の門葉ありて、 庵 ( あん )に十哲とよぶ門人あり。 芭蕉翁が 奥 ( おく )に 行脚 ( あんぎや )のかへるさ越後に入り、 新潟 ( にひがた )にて「海に 降 ( ふ )る雨や 恋 ( こひ )しきうき 身宿 ( みやど )」 寺泊 ( てらどまり )にて「 荒海 ( あらうみ )や 佐渡 ( さど )に 横 ( よこ )たふ天の川」これ夏秋の 遊杖 ( いうぢやう )にて越後の雪を見ざる事 必 ( ひつ )せり。 叔父や両親は悲しんで、私を諌めるが無視している」 「弟さんはなんて言ってるんです」 「何も言わない。

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ゆび さき と 恋々

レオナルド・ダ・ヴィンチが弟子に告げた言(ことば)に、あの鐘(かね)の音(おと)を聞け、鐘は一つだが、音はどうとも聞かれるとある。 雪国の人は春にして春をしらざるをもつて 生涯 ( しやうがい )を 終 ( をは )る。 竜閑橋ゃ、 名代 ( なだい )な橋だがね」 「おい、もう少し、 石鹸 ( しゃぼん )を 塗 ( つ )けてくれないか、痛くって、いけない」 「痛うがすかい。 おおかたそんな 事 ( こっ )たろうと思ってた。 両人 炬 ( たいまつ )をふりてらしてこゝかしこをみるに光るものさらになく、また 怪 ( あや )しむべきをみず、さては人のいふは 空言 ( そらごと )ならん、いざとて 皈 ( かへ )らんとしけるに、水上 俄 ( にはか )に 光明 ( くわうみやう )を 放 ( はな )つ、すはやとて両人衣服を 脱 ( ぬぎ )すて水に飛入り 泳 ( およ )ぎよりて光る物を 探 ( さぐ )りみるに、くゝり枕ほどなる石なり、これを 取得 ( とりえ )て家に 皈 ( かへ )り、まづ ( かまど )の 下 ( もと )に 置 ( おき )しに光り 一室 ( いつしつ )を 照 ( てら )せり。 だが、「そうかもな」と呟いた彼の表情は少し和らいでいた。 わが、 唐木 ( からき )の机に 憑 ( よ )りてぽかんとした 心裡 ( しんり )の状態は 正 ( まさ )にこれである。

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ゆび さき と 恋々

雪なき時ならば 健足 ( たつしや )の人は四日ならば江戸にいたるべし。 又本国 甲賀郡 ( かふかこほり ) 石原 ( いしはら ) 潮音寺 ( てうおんじ )和尚のものがたりに、近里の農人 畑 ( はた )を 掘居 ( ほりゐ )しに 拳 ( こぶし )ほどなる石をほりいだせり、此石常の石よりは甚だうつくし、よつて取りかへりぬ、夜に入りて光ること 流星 ( りうせい )の如し。 さる程 (ほど)に、信乃 (しの)は只管 (ひたすら)に路 (みち)を走 (はし)りて、その日 (ひ)申 (さる)の左側 (ころほひ)に、辨天堂 (べんてんだう)へ参 (まゐ)り著 (つ)き、瀧 (たき)垢離 (こり)に身 (み)を浄 (きよ)めて、霎時 (しばし)神前 (しんぜん)に黙祷 (もくとう)し、軈 (やが)て下向 (げこう)に赴 (おもむ)く程 (ほど)に、途 (みち)のゆくての田中 (たなか)にて、思ひかけなく蟇六 (ひきろく)が、網乾 (あぼし)左母二郎 (さもじらう)を伴 (ともなふ)て、老僕 (おとな)背介 (せすけ)に漁網 (あみ)を被肩 (かつが)せ、こなたをさして來 (く)るにあひけり。 二株三株 ( ふたかぶみかぶ )の 熊笹 ( くまざさ )が岩の角を 彩 ( いろ )どる、向うに 枸杞 ( くこ )とも見える 生垣 ( いけがき )があって、外は浜から、岡へ上る 岨道 ( そばみち )か時々人声が聞える。 次を見ると「花の影、女の影の 朧 ( おぼろ )かな」の下に「花の影女の影を 重 ( かさ )ねけり」とつけてある。

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ゆび さき と 恋々

むかしより此毘沙門堂に於て毎年正月三日の夜に 限 ( かぎ )りて 堂押 ( だうおし )といふ事あり、 敢 ( あへて ) 祭式 ( さいしき )の 礼格 ( れいかく )とするにはあらねど、むかしより 有来 ( ありきたり )たる 神事 ( じんじ )なり。 手持無沙汰(てもちぶさた)に写生帖を、火にあてて乾(かわ)かしながら、 「御婆さん、丈夫そうだね」と訊(たず)ねた。 村のものは、みんな 気狂 ( きちげえ )だって云ってるんでさあ」 「そりゃ何かの間違だろう」 「だって、 現 ( げん )に証拠があるんだから、御よしなせえ。 信乃 (しの)は斯 (かう)忙々 (あはたゝ)しき折 (をり)、こゝろ漁猟 (すなどり)にあらざれ共、底意 (そこゐ)はしらず伯母夫 (をばむこ)の、わが為 (ため)に網 (あみ)をおろし、留別酒 (りうべつさけ)の設 (まうけ)にすとて、伴 (ともなは)るれば推辞 (いなむ)によしなく、困 (こう)じながらに打 (うち)つれ立 (たち)て、神宮 (かには)河原 (かはら)へ赴 (おもむ)きけり。 二親 (ふたおや)の知 (し)る事には侍 (はべ)らず。

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